2017.05
うたらばvol.18【食べる】 30首
(写真作品)

さみしいは言えないおなかすいたってつぶやくしかないあなたの隣(塚田千束)

午後3時祖母と集えば花が咲き信玄餅の蜜のてらてら(田中友海)

屋上で岡本太郎の太陽を見ながら食べるカロリーメイト(伊藤綾乃)

焼き鳥は串からはずさず食べなさい わたしはわたしを貫きなさい(西村曜)

神様はいつも冷たい 食べるのがおそいわたしのパスタが来ない(えんどうけいこ)

真っ白なショートケーキのどのへんを崩せば好きになってくれますか(千原こはぎ)

本当に愛されてるかとか悩む君はかわいい 髪、食べてるよ(山田水玉)

日本ではお米のひとつぶひとつぶに神様がいてわたしを守る(嶋田さくらこ)

牛丼の食べ方なんて知らなくていい人生を期待していた(稲垣三鷹)

たくさんのおやつ買ひこみわたくしと春が来るまで籠りませんか(有村桔梗)


(佳作集作品)

さわさわと空に一番近い葉をキリンは願掛けするように食む(風花 雫)

正しさを模索したまま頬ばったチロルチョコには幾何学模様(市松藻ヨウ)

焼肉屋の壁に貼られた部位を指すイラストの牛がおれを見ている(ユキノ進)

粗熱をとったマカロニめためたに混ぜる誤解はそのままにして(吉沢湊)

「よく振ってお飲みください」冬空にペットボトルの蓋のやさしさ(杏野 カヨ)

おみやげのチーズケーキと手をつなぎきみのかえりを待っております(東こころ)

すき焼きの食べ方とかで揉める日が来たならそんなあなたも好きだ(加治小雨)

新キャベツ新たまねぎに芹セロリざくざく噛んで春を呼ぶのだ(高松紗都子)

「食い逃げ!」と魚屋が言う 猫の親からしてみれば元気いい子に(関根裕治)

シンデレラタイムを過ぎたあたりから 急においしさ増すビスケット(紗雲 かむり)

幸福は美味しいのかと聞いてくる君に食べさせたいものがある(流川透明)

わけあって食べるからいい冬空の星のひとつであった肉まん(九条はじめ)

もしきみがお花にたとえられたなら気をつけろ草食男子には(関根裕治)

マカロンをいつまでも食べ続けたら私の中身も女子になるかも(藤村佳奈子)

ポケットに入れたのど飴すずしくて知らないうちに遠くまできた(吉川みほ)

「その葉っぱ食べれるよ」って教わって春、少しだけ拡張してゆく(都季)

食べかけのスナック菓子の塩味の軽さで未来の展望を聞く(香村かな)

うなだれるきみに何かを言うかわり優しく焼いたこの万願寺(東風めかり)

青天にフライドチキン振りかざし常識を殴り倒せ少女ら(鳩子)

本能が閃くようにカッと目を見開き乳にかぶりつく吾子(ひの夕雅)

 *

食べ物の好みが似てるという切符にぎりしめつつ君とゆく道(田中ましろ)