2011.07
うたらばvol.03【はつなつ】 27首
(写真作品)

明け方に夏の星座が過ぎる音 聞き逃さぬよう髪を切ったの(ユキノ進)

長袖を脱いだあなたの細腕が窓辺に晒され恋した教室(水川 史生)

ペディキュアの爪先にあうサンダルを鳴らしてきみに愛されにゆく(雑食)

いくつかの秘密を隠し白くあるレース日傘の強かなこと(空音)

真っ青な油が分離したままで波にもなれない夏の置き物(Tetsu)

紫陽花の花言葉だけメールした 苦笑いなどもう見たくない(嵯野みどりは)

スーパーの棚で震える白桃に触れるときこそ無造作であれ(野比益多)

はつなつの髪をほどけばパラドクス会える会えない来ないでよ来て(紗都子)

バイバイ、と君が最後に手を振った道に今年も揺れる陽炎(都季)

ぼくたちがぼくたちとしてあるためのポカリスエットが夏のはじまり(逢)


(佳作集作品)

九月には種子をたくさん集めるの朝顔棚組む君の白い手(ユキノ進)

真新しいサンダルに足通すとき弱いかかとに吹く南風(嵯野みどりは)

全身で息をしている 気づいたらこの身体にもみどりが宿る(藍原晶)

藤棚の下で僕らはうっかりと青い果物みたいに並ぶ(野比益多)

七月のままのあなたが見上げてる短冊のない笹のざわめき(むしたけ)

山法師花の名前を本当は昨日覚えてその下に待つ(いらくさ)

きみどりの雨が降ります きみどりの街になります 葉桜の刻(龍翔)

みずいろのにおいを纏う濡れ髪にきみが少女でないことを知る(氷吹けい)

夕立を待つトンネルに落ちていたビニール本のページ剥がれず(オキラクナクマ)

かけひきのない恋などもしてみたい君を選んではじまった夏(こゆり)

笹の葉にじかに願いを書いちゃってあの日ぼくらは最強だった(むしたけ)

恋人になりそうなひとと明け方のコンビニにいる「夏のにおいだ!」(とびやま)

あなたから借りたシャツにはあの夏の西瓜の汁がしみていました(雑食)

笑うたび水滴が跳ぶ新しい水着で君は子どもみたいだ(瀬波麻人)

初めての海は遠くて退屈だ甘夏の房むいてあげよう(さくらこ)

日曜の朝のソナチネ眠たくて幼き指に光がとまる(くらむぽん)

ブランコをぐらんと漕いで少年は夏空の中にひとりさまよう(纏亭写楽)
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まっすぐに想われたいよブルーブルー芝生は空を目指して伸びる(田中ましろ)