2010.06
うたらば創刊準備号【春恋】 10首
(写真作品)

春に恋するのが一番良いでしょう風が強いと尚良いでしょう(伊藤夏人)

咲くことも散ることもなく満開のあたしは重たい女なんだね(さかいたつろう)

まって、って言葉も届かないくらいあなたとあたしのあいだにさくら(こゆり)

わたし世紀もっともさむい春が来た さよならなんて習ってないのに(ムラサキセロリ)

好きな人はいないと首ふる十歳の髪にふれればうまれる光(イマイ)

はじまると思ってなかった 潮風に揺らされている菜の花なのはな(田中ましろ)

ふるえつつ抱きしめあった春のなか一緒に酔ってもいいと思った(藤野唯)

去年から凍らせていた告白がベビーピンクの街で溶けそう(文月郁葉)

桜色に塗ったばかりの指先があなたの髪に絡まってゆく(r!eco)

春を病み芽吹く気持ちに水をやる係を君に任命します(中森つん)